「多文化共生社会の総合政策研究」第1回研究会報告

開催日:2019年11月9日(土)13:00~16:40(13:00~15:10 全体会 15:20~16:40 分科会活動)

場所:中央大学多摩キャンパス11号館

(全体会:11410号室 分科会:11508・11510号室)

参加人数:全体 12名(分科会1:8名,分科会2:4名)

活動内容:

 今回は初回の研究会であったため、プロジェクト・リーダーの横山代表理事と山内研究員の2人から、「多文化共生社会の総合政策研究」プロジェクト全体及び分科会1、2についての説明を行った。

 プロジェクト全体の説明の中では、プロジェクト名にも含まれる「多文化共生」や「総合政策」といった概念の定義づけが行われた。具体的には、多文化共生の「文化」概念が、国家や民族に限定されず、世代や職業、趣味まで含む広い意味でとらえられていること、総合政策的視座として、複数の時点、社会、政策について、複数の学問の知見に基づき、複数の主体がどのように関与し、価値判断を行うのか、という点が重要であると考えられていること、などである。

 分科会1、2の説明の中では、オストロムらの定義を踏まえた「ポリセントリック」の意味(分科会1)や、岡本智周の定義に基づいた「カテゴリ更新としての共生」という概念(分科会2)が提示された。

 発表の内容は「定義」に若干偏ったようにも見えるが、おそらく重要なのは、これらの発表から「多文化共生」や「総合政策」の普遍的な意味を読みとることではない。発表の中で横山プロジェクト・リーダーは、「独立した決定主体が活動すると、他者との交渉・軋轢などが生じるが、そのプロセスをへて、新しい文化が誕生する場合がある」という重要な視点を提示したが、定義をめぐっての議論を否定するわけではないにせよ、唯一解の提示に過度に拘泥することは、結果的にそのような「新しい文化」の生成を妨げてしまうであろう。

 研究プロジェクト全体及び各分科会の説明に続いて行われたのは、研究会メンバー個々人の研究関心についての発表がなされた。先に本プロジェクトにおいては、文化の単位は国民や民族だけではないことに言及したが、個々人の関心においてもその対象は、「外国人」との関係にはとどまらず、金融やジェンダーも含む広いものであり、また「外国人との関係」に関心がある者であっても、その注目する点や背後にある経験、専門知識の多寡などが異なっていた。

 こういった経験や知識量の違いが、そのまま発言力の違いとなってしまうならば、「新しい文化」の生成は妨げられてしまうだろう。個々人の発表を受けて、参加者の一人ひとりが他者の来歴に真摯に向き合うことの重要性を共有できたかと思えた。こうした姿勢こそが、研究会や学界に限らず、広く社会において他者と共生するためには欠かせない姿勢である。その姿勢の重要性が認識されたことは研究会としては、この上ない船出であったといえよう。

(執筆: 山内勇人)

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