日本の税と可処分所得(11)-保険料の使途
現役世代の健康保険料の使途を紹介します(注1)。
75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の財源構成は、次のとおりです。
医療費のうち本人の自己負担を除いた部分(=保険適用部分)を給付費とよび、それを100とします。
同制度では、給付費の10%を加入者自身の保険料で賄い、約50%を公費(税)で、残り約40%を、74歳以下が加入する被用者保険や国民健康保険による支援金で調達します。
そこで、被用者保険である健康保険組合(以下、同組合と記す)を例に、保険料の使途を示します。同組合の加入者は、大企業の被用者-企業に雇われている人-と、その家族です。
2023年度の同組合全体の収支は、
保険料総額8.7兆円=給付費4.7兆円+後期高齢者支援金2.2兆円+前期高齢者納付金1.5兆円+その他 です(注2)。
右辺は支出で、4.7兆円は加入者への給付額です。次の2.2兆円は、前述の後期高齢者医療制度への支援金です。
前期高齢者納付金1.5兆円は、65歳以上74歳以下の前期高齢者加入率(=前期高齢者の加入者数÷総加入者数)が3.4%の健保組合から、43.8%の国民健康保険への納付金です。前期高齢者加入率の値は注3(2022年度の値)によります。
これは、前期高齢者の医療費を、各保険制度の実際の前期高齢者加入率ではなく、全国平均(全保険制度)の前期高齢者加入率15.1%だけ加入しているとして、分担するからです。
健保組合をはじめ、15.1%より低い保険者(協会けんぽ・共済組合等)は、15.1%との差の人数分を、国民健康保険に納付します。逆に、国民健康保険は、平均よりも高い分(43.8%-15.1%の人数分)の納付金を受取ります。
結局、健保組合の保険料8.7兆円のうち、3.7兆円 (2.2+1.5) は、同組合以外の65歳以上の給付に使われます。この部分は、勤労世代から高齢世代への所得移転(仕送り)に他なりません。
注
1.本稿は本コラムNo.216のアップデート版です。
2.けんぽれんURL https://www.kenporen.com/toukei_data/index-2.shtml
令和5年度組合決算概況報告、p.39,表19より。
3.けんぽれんURL https://www.kenporen.com/book/kenpo_news/detail/2205/220502_07.shtml
2,3とも最終アクセス 2026年3月6日。
(執筆 馬場 義久)














