経済成長
こんにちは、ふたたび池上です。前回は、国民一人あたり年間所得の増大は、貧困の減少、健康や満足度の増加をもたらすようだというお話でした。今回は、国民一人あたり年間所得の増大は、どのようにもたらされるのかというお話です。個人がどのように所得を増大させるのかではなく、一国の経済全体の生産物、所得がどのように増加するのかを捉えます。
ある国の労働者全員を労働とし、すべての土地、工場、機械を資本とします。この労働と資本を用いて生産物が生み出されます。その生産物の売上は、賃金として労働者の所得になり、資本レンタル料として、資本所有者(資本家)の所得になります。さて、その労働者と資本家の所得ですが、一部は消費にあてられ、残りは貯蓄に回されます。そして貯蓄は投資にあてられ、投資は資本の増加分、資本蓄積となります。この一連の流れを図に、キーワードと矢印を使って書いてみてください。流れは、一回りが一年で、毎年、毎年繰り返す流れです。
所得を増加させるためには、生産物を増加させる必要があり、生産物を増加させるためには労働と資本を増加させる必要があります。どうやら、労働と資本の増加が、所得増大の要因のようです。資本の増加は投資、そして貯蓄に等しいのですが、やたらに投資と貯蓄をしてはいけません。なぜでしょうか?また、労働の増加は、人口を増やせばよいのですが、やたらに人口を増やしてもいけません。なぜでしょうか?
資本の増加を考えるには、まず、我々国民は上記の一連の流れのどこから幸せを得ているのかを考える必要があります。働くこと自体からの喜び、給料を家族に渡せること自体の喜びなどを簡単化のために割愛すると、我々は消費から幸せを得ています。だからといって所得をすべて消費に回してもいけません。なぜでしょうか?なぜならば、貯蓄=投資=資本の増加は、来年の生産物、所得、そして消費を増加させるからです。次回は、この話の続きです。
(執筆:池上宗信)