日々是総合政策No.327

日本の税を考える-消費税再考(4)多収性・安定性

 今回は、基幹税である消費税・勤労所得税・法人税を念頭に、3税の潜在的課税ベースによる税収規模と安定性を比較します。
 消費税の潜在的課税ベースとして、家計最終消費支出を取り上げます。消費税が家計の消費支出に課税するからです。しかし、実際には消費税を課さない非課税消費が存在します。潜在的課税ベースとは現実の課税ベースではなく、理論的に可能な最大の課税ベースという意味です。勤労所得税の潜在的課税ベースは雇用者報酬(被用者への給与等)を、法人税のそれは法人企業所得(営業利潤等)を選びました。いずれも国民経済レベルの値です。

図 潜在的課税ベースの推移(2005~2024年度、兆円)

(出所)注に基づき筆者作成。

 図3は、3税の潜在的課税ベースを2005年度から2024年度の20年間について示します。家計最終消費支出(以下、消費支出と記す)が、2020年度を除く19年間について最も多額です。しかし、雇用者報酬との差はわずかです。法人企業所得の少なさが目立ちます。
 各潜在的課税ベースに同一の税率を課すと、消費税は、潜在的には、少なくとも勤労所得税なみの税収を生むということです。なお、3税とも非課税消費や所得控除のない、比例税を想定している点に注意して下さい。
 次に、税収の安定性を見るために、20年間における各潜在的課税ベースの変動係数(標準偏差÷平均値)を比べます。変動係数の大きいほど、20年間におけるバラツキが大きいことを示します。消費支出の変動係数は0.045で、0.064の雇用者報酬と、0.222の法人企業所得より低い(注に基づき筆者算出)。同一の税率のもとで、潜在的には消費税が最も安定的に税収をもたらします。
 なお、雇用者報酬を被用者の社会保険料(厚生年金保険料等)の潜在的課税(賦課)ベースとするのも、興味深い。現行の被用者保険は勤労所得税と異なり、所得控除がなく、雇用者報酬×税率(賦課率)という比例税に近いからです。上述の検討から、同一税率のもとでの消費税収は、少なくとも被用者保険料収入の水準となり、また、同保険料収入よりも安定的となります。

注 内閣府経済社会総合研究所

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/gaiyou/gaiyou_top.html

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最終アクセス 2026年8月24日。                                                         

(執筆 馬場 義久)

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