民主主義のソーシャルデザイン:自分ゴトの政策変更
平成から令和へと時代が移り変わった2019年も終わり、2020年を迎えようとしています。新しい年が明けて、実施される大学入試センター試験は、「センター試験」としては最後の試験になります。再来年の2021年からは、「大学入学共通テスト」と名称も変わり、新しい試験の方式も導入される予定でした。しかし、読者の皆さんもご存知の通り、「大学入学共通テスト」への改革の大きな2本柱がいずれも見送りになることが決まりました。
1本目の柱は、英語科目の「民間資格・試験」の活用。受験生は、大学入試英語成績提供システムを通じて、2回まで、民間の資格や試験の成績を「大学入学共通テスト」で活用できる予定になっていましたが、民間資格・試験の受検機会の公平性等に課題が残り、11月に見送りが決まりました。
2本目の柱は、国語科目と数学科目の「記述式問題」の導入。これも記述式問題の採点性の問題が指摘され、その課題が残されてしまい、12月に見送りが決まりました。
大学入試改革は、2014年12月の文部科学省中央教育審議会答申「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」(高大接続答申)を踏まえて、取り組みが進められてきました。「高大接続答申」の背景には、政府の教育再生実行会議の「高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について(第四次提言)」(2013年)があり、いわば官邸主導の改革と言えます。
2006年の第1次安倍政権においても、教育基本法の改正や教育再生会議が設置されるなど、教育改革は政権の重要な政策課題に位置付けられてきました。その意味では、教育改革は、安倍政権にとって、第1次政権以来の一貫したテーマであることがわかります。
高校生にとっては、大学入試の仕組みがどのように変わるのかは、自分の人生にも関わる大きな関心事(自分ゴト)だと思います。受験の仕組みでは、1にも2にも「公平性」の確保が絶対的な条件になるでしょう。高校生の皆さんは、どのような意見をお持ちでしょうか。
(執筆:矢尾板俊平)