民主主義のソーシャルデザイン:政権のレガシーづくり
令和時代最初の国政選挙となった参議院選挙の投票率は、48.80%でした。これは3年前の前回参議院選挙の投票率から5.90ポイントも下回る結果となりました。また、10代(18歳、19歳)の投票率は31.33%でした。(いずれの投票率も総務省「第25回参議院議員通常選挙発表資料」に基づき、記載)。
48.80%という投票率は、1995年に行われた参議院選挙の投票率(44.52%)に次ぐ、戦後2番目に低い投票率となりました。戦後、参議院選挙の投票率が50%を下回ったのも、1995年の選挙と今回の選挙の2回です。同じ国政選挙である衆議院選挙では、戦後、50%を下回る投票率はなく、最も低い投票率は、2014年12月の衆議院選挙で52.66%です。(いずれの投票率も公益財団法人明るい選挙推進協会の公表データに基づき、記載)。
今回の参議院選挙で印象的だったのは、「諸派」と位置付けられる「政党要件」を有していない政治団体の躍進です。総務省の資料によると、比例代表選挙区で、れいわ新選組は1,226,413.562票を獲得し、NHKから国民を守る党は841,224票を獲得し、いずれも政党要件を満たしました。
さて、安倍晋三首相にとっては、国政選挙6連勝となりました。本年11月には、首相の通算在職日数の歴代1位である桂太郎氏を超え、わが国の憲政史上歴代1位の在職日数も確実に視野に入りました。首相には任期はありませんが、自由民主党総裁としては2021年9月に3期9年の任期が満了する予定です。これからの政権運営の課題は、「政権のレガシーづくり」と「レームダック化の回避」であると言えます。「終わり」が見えた政権の求心力は弱まり、政策実行力が落ちていく可能性があります。これが「レームダック化」です。「憲法改正」なのか、日朝問題や日露問題などの「外交成果」なのかはわかりませんが、政権のレガシーを築き上げるためには、レームダック化を避けるばかりか、安倍首相の求心力を高める必要があります。そこで「鍵」となるのは、やはり「選挙」かもしれません。
亥年の選挙イヤーが、夏の参議院選挙で終わらない可能性は「ゼロ」ではありません。
(執筆:矢尾板俊平)