民主主義のソーシャルデザイン:ちばでもプロジェクト
「投票に行く人を増やす」。これも民主主義のソーシャルデザインを考える上で、非常に大切なテーマです。私は、2012年の衆議院選挙のときから、選挙が行われるたびに、私のゼミ学生の皆さんと一緒に「投票に行く人を増やす」ための活動として、「ちばでもプロジェクト」を行っています。「ちばでも」の言葉の意味は、「千葉のデモクラシー(民主主義)」。大学のキャンパスが所在する千葉市で選挙が行われなかった2018年を除き、ほぼ毎年、活動を展開してきました。大学キャンパス内に「期日前投票所」を設置し、学生がその運営にも関わるという活動も行いました。私は、小学校から帰宅して、国会中継を見ながら、答弁の真似をすることが大好きな子どもでした。選挙が近づくたびに「ワクワク」するのは、大人になった今でも変わりません。
投票率が低い要因は、有権者が候補者や政党のことをなかなか知ることができないからではないか。候補者や政党のことを知ろうとすると、大変だし、面倒だ。だから、有権者は、しっかりと調べて投票に行くよりは、投票に行かない方が良いという選択をしているのではないか。このような仮説に基づき、候補者にアンケートを実施し、WEBで政策比較サイトを作りました。
選挙期間中、学生が実際の政党マニフェストを読んだ上で、模擬投票をしてもらうということもしています。公職選挙法の関係で、選挙期間中には結果を公表することはできないですが、選挙後に、実際の選挙結果と若者による模擬投票の結果を比較し、世の中全体の意見と自分たちの意見の相違点を考える、というような取り組みもしています。
これまでの経験から、現在は、社会に対する自分の影響力を知る、何か変えた経験がある、ということが、政治参加や社会参画の促進に対する重要な要素であるという仮説を持ち、様活動をしています。選挙のときに「投票に行こう」と言うだけではなく、日常から身近なことに関わり、何らかの成功体験を積み重ねていくことが、時間はかかるかもしれませんが、これが投票率の向上にもつながっていくのではないかと思い、夏の参議院選挙に向けて、新たな「ちばでも」のデザインを考え始めています。
(執筆:矢尾板俊平)