新型コロナウイルス感染症対策への提言ノート(1)
7月の4連休初日に、新型コロナウイルス感染症の東京都における新規患者報告数は300件を超え、366件となりました。この4連休は、元々は、東京2020五輪大会の開会式(7月24日)とその前日を休日(海の日)とした「オリンピック連休」でした。東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まり、その後、政府は「Go To トラベルキャンペーン」を、この連休に合わせて実施することになりましたが、新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴い、「Go To トラベルキャンペーン」は、東京都を除く形で始まりました。しかし、この連休の局面は、不要不急の外出の自粛、都道府県をまたぐ移動の自粛を要請が必要となる状況に転じました。
上のグラフは、東京都が公表する都内の感染状況(新規患者に関する報告件数)について、1月24日以降、7月23日現在までの毎日の新規患者報告数と累計数をまとめたものです。
3月の3連休以降の最初の「山」に続き、6月下旬から第二の「山」となっていることは明らかです。この「山」は、最初の「山」よりも高い山になるかもしれません。
私だったら、このタイミングで、この連休中に緊急事態宣言を発出すると思います。医療体制を維持しなければなりませんし、新型コロナウイルス感染症以外の患者さんにとっての医療体制も守る必要があります。
いま、国や自治体は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、感染症対策に取り組んでいます。新型インフルエンザ等対策特別措置法や政府の行動計画において、今回、「想定外」であったことは、ワクチンや抗新型コロナウイルス治療薬が存在しないということです。そのため、新型インフルエンザ等対策特別措置法ではなく、新たに新型コロナウイルス感染症対策特別措置法を立法化し、今般の感染症の特徴に応じた対策や行動計画を新たに定める必要があると考えています。
また、東京都は1兆円近くあった貯金(財政調整基金)のほとんどを、今般のコロナ対策に使い、残額が807億円となるなど、いわば財政的にも「体力勝負」の様相です。財政に対するケアも必要です。
そもそも、コロナ禍の中で、東京都知事選挙を任期満了に伴い実施したことは、正しかったのでしょうか。
このコラムを通じて、これらの論点について考えていきたいと思います。
(注1)東京都『都内の最新感染動向』「新規患者に関する報告件数の推移」(2020年7月23日現在)
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
(注2)東京都『都財政に関する有識者との意見交換会』「資料1 都財政の状況(事務局資料)」(アクセス日:2020年7月23日)
https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/syukei1/zaisei/02tozaisei.pdf
(執筆:矢尾板俊平)