日々是総合政策No.112

2020年元旦

 新年明けまして、おめでとうございます。

 元旦にあたり、次世代の若い皆さんに考えていただきたいことがあります。皆さんが一番輝いていたときは何時ですか。その輝いていたときに、ご自分はどう振る舞い、誰がサポートしてくれたのでしょうか。その輝きは、ご自分の努力だけでは生まれませんでした。ご家族の支えや、一緒に過ごした友人や尊敬できる人たちとの出会いの賜物ともいえます。その輝いていたご自分とその状況を、これからも再現することはできるのでしょうか。どのような人と出会えるかは、運もあります。運は、偶然の連鎖ですが、自らの選択にもかかわります。
 選択は、皆さん一人ひとりの意思や選好や感情で決まります。自らの選択が、自分や大切にしている人びとを左右する社会のかたちを決めることになります。ご自分が幸せに過ごせる社会は、自らの選択次第ともいえます。皆さんがいま身を置く社会も、その社会の一人ひとりの選択による集合的な帰結です。その帰結とて不変のものではなく、一人ひとりの選択により新たな社会に日々刻々と変容しています。
 社会とともにご自分も変容することを恐れないでください。ご自分の内なる声に耳を傾け、最善と思える選択をしてください。あるいは、少なくとも最悪を避ける選択をしてください。何もせず静観することも、社会を変革することも、社会から退出することも、選択肢の一つです。
 数ある選択肢の中から選択を行う場合には、自らの価値判断基準すなわち選択基準を考えて、一つの選択肢(あるいは複数の選択肢それぞれに重み付けをして得られる混合選択肢)を選んでください。自らの選択には自分なりの選択基準があるのです。その選択基準も、一つの選択基準だけではなく、複数の選択基準それぞれに重み付けをして得られる混合選択基準かもしれません。そして、時間とともに皆さんの選択基準自体も変容しますが、自分が夢見ている未来の社会を考え、自分のいまの選択基準に基づいて、いまの社会を「より良い社会」にするために行う自らの選択を大切にしてほしいと思います。

(注)本エッセイは、横山彰「公共選択の基礎となる『自らの選択』を大切に」『草のみどり』(第301号、35頁、中央大学父母連絡会、2017年5月)に基づき加筆修正した。

(執筆:横山彰)

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