日本の税と可処分所得(2)
今回は、社会保険の中心である年金保険と健康保険の概要を説明します。なお、紙幅の制約により後期高齢者医療保険は省略します。
第一に、会社に雇われている被用者(勤め人)は、厚生年金保険料と健康保険料を労使折半で納めます。被用者が払う厚生年金保険料は勤労所得×0.0915(注1より。2023年度、以下同じ)です。
ただ、上限額/月が、65万円×0.0915=59475円(注1より)です。所得が65万/円までは比例的負担ですが、それを越えると逆進的負担になります。健康保険も、たとえば、協会健保の東京都の場合、上限額/月が、139万円×0.05=69500円です(注2より)。上限額は最高所得階層の保険料負担率(保険料÷所得)を中高所得階層より低くします。
第二に、第一の被用者の被扶養者(配偶者等)は、保険料を負担せずに保険給付を享受できます。医療費の窓口負担は3割であり、さらに被扶養配偶者は、国民年金の保険料を払わずに基礎年金を得ます。つまり、第一の被用者保険は、配偶者控除等のある所得税制と同じく、家計(家族)単位です。
ただ、年収が106万円(条件により130万円)以上になると、被扶養者になれず、第一か、以下の第三の保険に加入が必要です。
第三に、第一と第二以外の人、つまり、農業者・自営業者・退職者・非正規雇用者等、職場の健康保険や厚生年金の未加入者は、都道府県が中心に運営する国民健康保険と国民年金(第1号)への加入が必要です。両保険とも個人単位で被扶養者制度はありません。
国民年金の保険料は定額16520円/月 (注3より)なので、勤労所得に対して逆進的です。低所得者ほど高負担率となります。国民健康保険料は応能割(所得割・資産割)と応益割の組み合わせで決まり、後者の部分は逆進的負担となります。
注
- 日本年金機構 URL https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/ryogaku/ryogakuhyo/20200825.html
- 協会健保 URL
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3150/r05/r5ryougakuhyou3gatukara/ - 日本年金機構 URL https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/hensen.html
最終アクセス 2025年4月12日。
(執筆 馬場 義久)